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肺がん騒ぎ

 半日人間ドッグを受診、思いがけず肺の精密検査要ありと診断された。
咄嗟に肺がんで亡くなった兄が頭に浮かび、思わず質問してしまう。
「先生、肺がんの心配はありますか? 」
「可能性はあります」
医師のクールな返事に、
「確率はどれくらい? 」と聞こうとして、言葉にブレーキがかかる。
検査に手間取る他の検診もあり、最終結果が出るまで二週間ほど気がかりな日々を送る。漸う診断結果報告が郵送されてきた。それによると「左下肺野円形陰影」、如何にも思わせぶりだなあと懸念、初めて体験する私はじりじりと悩みはじめる。
精密検査は、国立の<東京医療センター>で受診することにした。元の海軍病院である。
先ずX線検査を再度受けた。
「先生、肺がんはどうでしょう? 」
ひとこと問わないと気がすまない。
「微妙ですね。これが影といえるかどうか。影なら可能性はありますねー 」
医師は私の顔を見つめながら、ごく普通の表情で説明してくれる。
「CTをやりましょう」
肺のCTを三日後に撮ることにした。
 不安は日毎に平常心を侵食してくる。まさかの場合にはどうしようか、幸いOKなら今後は周りに何も文句は言うまい。縷々、思考は振幅を繰り返すうち、健康がすべて、元気でさえいれば何事にも分限をわきまえよう、と恬淡とした境地に近づいていく。
 撮影は実にあっさりと進む。技師は簡潔に、てきぱきと軽快な動きで指示する。不安に苛まれる受診者とは対照的だ。
診断を待ち切れずにときどき時計をみて、気持を落ち着かせようとする。が、針の動きが普段の倍ぐらいにゆっくりと感じる。心臓はいらだち、ドキドキ鼓動は高まる。
パソコンに写る夥しい数の写真を、医師は念入りに観察する。同席する私は、喉が渇いてくる。
「異常なし。もう病院に来られる必要はありません」
歯切れよい説明に思わずホッとし、医師の顔まで笑顔に見えた。
 あれから一ヶ月あまり。不安は一挙に飛び去って、すっかり気分は元通り。
「あれもほしいなあ。こんなおいしいものが食べたいよー」
再び欲望の虫が騒ぎだしている。
入院してみてしみじみと健康の有難さを実感する。そうでもないと、健康な自分が何事にも我慢を誓う、なんて口先だけかなあ。と、書きながら、我が肺がん騒ぎを省みている。

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コメント

 始めまして
結果よかったですね。
これからも、お互い気をつけましょう。

投稿: okita | 2009年1月20日 (火) 18時18分

Fさん、しばらく悶々とした時日を過ごされたのですね。なんでもなくて何よりでした。先日のOB会でも何人かの先輩から癌治療のお話がありました。最近は早期の検診、治療でかつての不治の病も治る病になり、その分医師も淡々と患者に事実を話すようになったのでしょうね。
私の笑い話ですが、昨夏、大腸ポリープ摘出の際、ついでに頭部MRI検査を受けてみました。結果を聞きに行った時の医師のコメント「貴方の頭は全く詰まったところはありません!」ああ良かったと思いながら一瞬??「先生、その言い方は少し・・・」と言い返し二人で笑ってしまいました。

投稿: Y.S | 2009年1月25日 (日) 14時25分

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